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ミュージシャンとしてだけでなく俳優としても多彩な顔を持ち、独自の感性で多くの映画やドラマに出演してきた「ミッチー」こと及川光博さん。来年1月10日には初の主演作品「クローンは故郷をめざす」が公開される。この映画の中でクローンという難役を通して生と死という壮大なテーマを表現した俳優「及川光博」の新たな一面に迫った。 | ![]() |
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![]() 「クローンは故郷をめざす」 |
人間へのクローン技術が完成されつつある近未来。作業中に殉職した宇宙飛行士の高原耕平(及川光博)は、合法的にクローンとして蘇ったが、記憶障害が起こり、辛い思い出が残る少年時代のまま再生されてしまう。クローン再生に反対だった耕平の妻・時枝(永作博美)は、心に傷を抱えてはいるが生前と変わらぬ姿で再生した耕平を、喜びと戸惑いを感じながらも受け入れていく。その一方で世間の注目を浴びるようになった耕平は新たな悩みや苦しみにさいなまれ、ついには記憶が混乱し始める。やがて耕平は、少年時代に自身が暮らしていた故郷を目指して病院を抜け出す……。耕平が故郷で見つけた答えとは? |
![]() ――「クローンは故郷をめざす」の主演依頼にどんな気持ちだった? 及川光博:2年以上前のことなんだけど、最初にマネージャーから話を聞いたときは、僕の外見がクローンっぽいからかな、と少し軽い気持ちだった(笑)。でも台本を読んでみて、これは真剣に取り組まないと作品に失礼だと、心を入れ直したんだ。中嶋(莞爾)監督は以前から僕に注目してくれていたみたいで、僕のサービス精神やエンターテイメント性の裏側を暴きたいと思っていたらしい。ちょうど僕もそれまでの自分のパブリックイメージやキャラクターを取っ払いたいと考えていた時期だったし、この役を引き受けたのは必然だったよ。 |
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――実際にクローンを演じてみての感想は? 及川光博:監督の作品にかける思いがとても強くて、指示が非常に細かくてノイローゼになりそうだった(笑)。今までいろいろな役を演じてきたけど、過去最高に疲れた作品。とことん自分を追い詰めて、それでも心が折れなくて良かった。出演して本当に良かったと思う。Mっ気にも目覚めたしね(笑)。僕自身はどちらかというとSなんだけど。最初は監督がなかなかOKを出してくれなかったけど、撮影が進むにつれ一発でOKが出るようになって、その快感はたまらなかったよ。 ――「クローンは故郷をめざす」の撮影は過酷な環境だったとか。 及川光博:山奥にこもって世間とも隔離され、雨に降られ、風に吹かれ、川にまで入って……へとへとでボロボロで、うさも晴らせない、本当に過酷な2週間だった。そんな状況に置かれると、表情も声のトーンも自然に変わるんだよね。映画を見てもらえるとわかると思うけど、本当に耕平の表情に孤独感が滲み出ていた。これが監督の作戦だったとしたら凄いよね。演じ切ったときは本当にホッとしました。その分、今までとは違った達成感があったことも事実。 ――この作品のテーマは? 及川光博:この「クローンは故郷をめざす」という映画は、魂と肉体、生と死の物語。シュールな作品で、質感がすごくリアルに描かれている「大人のための童話」です。作品を通して、改めて心の中の自分と向き合い、生きること、死ぬことについて考えてほしい。見てくれた人それぞれ印象や感想があると思うけど、ラストシーンの無言の主人公に皆さんが何を感じたか、すごく興味がありますね。僕のパブリックイメージ、いわゆるミッチーはこの作品にはいませんが、新しい及川光博に出会ってほしいです。 |
![]() 及川光博(おいかわ・みつひろ)プロフィール
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「負けず嫌い!」 |