
「電車男」をきっかけに、個性的な演技で魅せる俳優としての評価を確立した山田孝之さん。前作「鴨川ホルモー」でも奇想天外な役を演じ、観る者を楽しませたが、最新作、手塚治虫原作の映画「MW-ムウ-」では、主人公の男を愛するがゆえに矛盾をはらむ行動に走る神父という難解なキャラクターを熱演。また、新たな表情を魅せてくれる。


手塚治虫 生誕80周年にして初の映画化!!
「MW-ムウ-」を巡るサスペンス超傑作
日本が誇る漫画家、手塚治虫が30年以上前に発表した「MW-ムウ-」。その壮大なスケールと衝撃的な描写などから、「実写による映画化は不可能」とまで言われてきた。だが今回、実力派を集めたキャスティングで映画化が実現。日本映画史に残る傑作として蘇った。


16年前、日本である島の人々が一夜にして消えた。その事件は政府により闇に葬られ、島に関するすべての記録が抹消されたはずだった……。が、まるで神の悪戯のように2人の少年が生き残り、本土に逃げた。やがて2人は、善良な神父(山田孝之)、そして、誰もが驚愕する完璧で美しいモンスター(玉木 宏)へと成長する――。


MW-ムウ-
2009年7月4日(土)全国ロードショー
監督:岩本仁志
原作:手塚治虫「MW」(小学館文庫コミック版)
出演:玉木宏、山田孝之、山本裕典、山下リオ、風間トオル、デヴィッド・スターズィック、鶴見辰吾、中村育二、半海一晃、品川徹、石田ゆり子、石橋凌
上映時間:2時間9分
配給 : ギャガ・コミュニケーションズ
(C)2009 MW PRODUCTION COMMITTEE

――心で思うことと行動が正反対の神父を演じられました。特別な役づくりはされましたか?
山田孝之:何が正しくて、何が間違っているのか、ということをずっと考えて、もやもやしている役だったので、僕も普段から何かを考えるようにしていました。1つのことにすぐ答えを出すんじゃなくて、深く深く……。よく考えたのは、玉木さんはアクションとかやって楽しそうでいいな、僕は煮え切らない役なのに、う~ん、なんでだろう、とか。無理矢理悶々としていましたね(笑)。
――大切な人が犯罪者という事実に直面した人間の内面を見事なまでに表現。思わず共感してしまいました。
山田孝之:僕は原作を読まないタイプなので、台本を初めて読んだとき、なぜこの人(【神父】賀来裕太郎)は、こんなに矛盾した行動をとるんだろうと、意味がわからなかった。でも、実は賀来は結城に恋愛感情を抱いていると聞いて、あ、だったらわかるわ、と思いました。原作を読まずに映画を観る人はわからないかもしれないけど、心の中では結城を愛する気持ちだけを思って演じました。
――そんな今作の見どころは?
山田孝之:現実に起こりうる事件を描いていて、スケールがとても大きい映画だからこそ、観た人は自分なりに色々と考えるんじゃないかなと思います。こんな事件があったら、自分はこんな風に思うんだって気づける深さがあります。僕はこの作品のそういうところがすごく好きだし、必要なものだと思いましたね。

――どんな俳優を目指していますか?
山田孝之:特に具体的に目指しているところはありませんが、「こいつ面白い」と思われる役者でいたいな、とは思いますね。新作のストーリーではなくて、この人は次にどんな役をやるんだろう、というような興味の持たれ方をされたい。その方が作品を観る人も面白いでしょ。
――その役者が出る作品だから観たいと。
山田孝之:そう思われることは、実は役者として当たり前だけど、やはり意識しますね。すごく大事だから、いろんな作品で、いろんな役を、いろんなやり方で、いろんな魅せ方で、やっていければいいな、と思っています。
――最後に山田さんの好きな女性のタイプは?
山田孝之:好きな女性のタイプか、難しいなー。いや、でもありますよ、やっぱり。この人と付き合っても絶対に上手くいかない、と思うような、クセのある人を好きになりますね。好きになっちゃダメだ、と、思えば思うほど、気になってしまったり、という傾向があります。

山田孝之/Takayuki Yamada
1983年10月20日、鹿児島県生まれ。99年、日本テレビ系ドラマ「サイコメトラー EIJI2」でデビュー。その後、「WATER BOYS」や「世界の中心で、愛をさけぶ」、「H2~君といた日々」、「白夜行」など、数々のテレビドラマに出演。映画では「電車男」、「手紙」、「クローズZEROⅡ」、「鴨川ホルモー」など数多くの作品に出演。今秋には「大洗にも星はふるなり」が公開される。
撮影:笹野忠和
「日本映画史上“規格外”のアクション映画を撮る」という信念で、タイでのロケも断行された今作。冒頭からタイの軍隊を総動員したアクションシーンが繰り広げられるなど、そのスケールに驚かされる。
――タイでの撮影秘話があったら教えてください。
山田孝之:タイ料理には大体パクチーが入っているので、玉木さんは食べられない! パクチーが嫌いだから。いつも自分で用意したものを食べてました。これって秘話ですよね(笑)。
――秘話ですよ(笑)。ちなみに山田さんは?
山田孝之:食べましたよ。そういう現地でしか味わえない料理には挑戦するタイプなので。
――ゲテモノだとしても?
山田孝之:どうだろう……。虫だったら厳しいけど、カエルぐらいなら食べるでしょうね。